あかいろモザイク

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【海外サッカー】フットボール・アソシエーションはイギリスの高野連だ【イングランド】

フットボール・アソシエーション、略称FA。イギリス南部・イングランドのサッカー協会であり、世界最古のサッカー協会でもあるこの団体。しかしFAを含めイングランドのサッカー関連団体(プレミアリーグ等)は明らかに時代遅れないし選手の健康を考えない異常な制度が現代でも残されたままである。今日はFAが関連する大会に蔓延る問題点をいくつか挙げていきたい。

 

FAカップの再試合、やめにしない?

世界最古のサッカーのカップ戦であるFAカップ。リーグ戦であるプレミアリーグとは異なり、一発勝負のトーナメントである本大会、先日その4回戦が各地で開催された。本大会13年ぶりの優勝を目指すリバプールは、3部相当のシュルズベリー・タウンとアウェイで対戦し、2-2で引き分けた。FAカップの規定につき、ホームのアンフィールド再試合をすることとなった。

海外サッカー、特にイングランドのサッカーを知らない人からすると、再試合というレギュレーションが謎に思えてくるかもしれない。しかしFAは世界最古のカップ戦としての伝統や下部リーグクラブの収益を確保する観点等から、2020年現在もこのルールを採用している。再試合自体はかつてUEFAチャンピオンズリーグなどでも採用されていたが、80年代までには廃止されている。

とはいえ、近年はUEFA主催大会が充実し、またイングランドにはJリーグルヴァンカップに相当する「リーグカップ」も開催されているために、年間60試合以上もこなすことも少なくなっている。「主力組」と「若手・控え組」の2チームを組むターンオーバー制を敷いて、主力選手を休ませようと各クラブは努力している。それによりFAカップは前述したリーグカップと共に若手選手の品評会としての性格が強くなっている。しかし一発勝負のトーナメント、若手にただプレッシャーを与えるだけではないだろうか?

FAカップの再試合ルールは時代遅れとしか思えない。「伝統」や「金儲け」といった短絡的かつ保守的な思考を捨て、「選手ファースト」へ舵を切るべきである。

 

過密日程にNO。年末年始はお休みにしよう

イングランドのクラブサッカーはとにかく過密日程。リーグ戦は38試合、2つあるカップ戦は最低2試合、そしてリーグ戦上位クラブに参加資格が得られるUEFA主催大会に出ると最低6試合。ビッグクラブは最低46試合をこなし、実際は50試合、60試合とかなりの試合をこなす。前述のようにターンオーバーを組むため実際の試合出場数はもっと減るが、サッカーにはナショナルチームによる代表戦も盛ん。これも年間10試合ほど組まれるため、トップ選手はターンオーバーで数試合回避しても50~60試合戦うことも。その過密日程ぶりに選手、指導者が精神的、肉体的に悲鳴を上げているのは一種の風物詩である。

その過密日程の極致に今立たされているのが、今シーズンのリバプール。クラブW杯で主力を投入するために、12月に行われたリーグ杯で23歳以下、普段リーグ戦でピッチに立つことはほとんどないセカンドチームだけで組ませるといった異常な状況が生まれる。当然試合は0-5で大敗、負けたチームへの怒りよりも、まずFAに怒りを向けた。

 

さらにイングランド特有*1の試合日程の組み方として、年末年始にも試合が組まれる所である。日本の天皇杯が元日に決勝を行う風物詩があるが、オフ期間が短くなることで批判の声も大きい。だがイングランドの場合は年末年始の9日間に4試合(うち1試合はFAカップ初戦)を詰め込んでおり、それをプレミアリーグに所属する全チームに強要している。仕事のない年末年始、観客は観戦する絶好の機会だが、選手は年末年始も休まず試合に出て、かつ短期間に何試合もこなす。気持ちのいいものではないと思う。

一応、選手の健康を守りましょうということで、2月上旬にプレミアリーグ史上初めてウィンターブレイクが設けられた。しかし前述のFA杯4回戦の再試合はそこで組まれるため、リバプールを含め引き分けてしまったクラブに休みはない。さらにウィンターブレイクが他国とは異なり年末年始でないというところも疑問。年末年始くらい、家族と一緒に過ごしてやれよとは思う。

あとはいちゃもん臭くなるけど、これ2019年で初めてやったのも疑問。いや、CLが巨大化した2000年代初頭からやれよ。20年近く選手が苦しみ続けていたんだぞ。遅すぎだろ。

 

試合が増えれば主催団体やクラブは儲かるし、選手もプロなので儲かる。だが選手の健康は疎かにされる。それを見ている側は別に傷つかない。だが本当にそれでいいのか?サッカーは身体接触のあるフルコンタクトスポーツ、常に危険が伴うし、何せ90分間走り続けなければならない。たくさん試合はあるのはいいかもしれないけど、悲鳴をあげながら戦う選手を見るのは「凄い」よりまず「辛そう」の一言。前述のFA杯再試合廃止もそうだが、プレミアリーグの日程や価値が低いリーグカップのあり方にメスを入れなければならない。

また、プレミアリーグの2大監督のユルゲン・クロップ(リヴァプール)とペップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)は毎年のように過密日程を批判している。現場のトップを走る両者の声を、FAは聞き逃してはならない。

web.gekisaka.jp

www.footballchannel.jp

 

VAR、ようやく導入も5大リーグで最も遅い結果に

FAに蔓延る問題は日程面の問題ではない。それは新技術に対する消極的姿勢、近年ならビデオアシスタントレフェリー(VAR)を導入するタイミングの遅さである。

VARは悪質なファウルやオフサイドラインなど際どい判定を補助するために導入されたシステムである。詳細は下記リンクで確認してほしいのだが、これまで見逃されてきた「疑惑の判定」をできるだけ無くす革新的なシステムである。

www.jfa.jp

VARは機材や人材育成にかかる時間と費用が莫大なために、クラブサッカー界で支配力を持つ5大リーグでも導入タイミングにズレが出た。ブンデスリーガセリエAは2017-18シーズンより導入され、リーグアンリーガエスパニョーラは1年遅れた2018-19シーズンより導入された。しかしプレミアリーグは他の4大リーグが導入する中で唯一導入せず、その間多くの誤審案件に苦しめられた。そして2019-20シーズンより導入に舵を切ったのであった。もう導入されたからこれ以上言いたくはなかったけど、いくらでも金があるプレミアリーグの保守的判断により遅れてしまったのは許しがたい案件である。

もちろん、VARに対する問題点は多いのも事実であり、VARによる誤審も多い。またイングランドでは主審がモニタを見ずVARの見解のみを参考にするという、他国にはない、不確実な確認方法を取っている。しかしVARがあるのとないのでは大違い。問題点があるからといって即刻廃止!というのはあまりに短絡的である。審判の技術向上や基準の見直しでどうに出る問題ではないだろうか。

 

なお、新技術の導入が遅いとは書いたが、ゴールラインテクノロジー(ゴール判定補助システム、GLT)は世界最速の2013-14シーズンより導入している。こちらも大きな費用はかかるが、こちらはゴールしたか、しなかったかのデジタルの判定のみで決まるためVARほど問題にはなっていない。

 

最後に

過密な試合日程を強要し、選手の健康を阻害しているといえば日本の高校野球もそう*2。こちらは炎天下で行われる試合やエース投手の「酷投」など英サッカー界にはない問題点もあるが、これまで何度も述べた「過密日程」と、新しい技術と制度を拒み続ける「保守性」、そしてそれを改善する気のない「古い体質」は紛れもなく高野連と同じであろう。

*1:同じくイギリスのスコットランドも同様だが、サッカー先進国のリーグではイングランドのみということでこの表現を採用した

*2:年末年始に行われる高校サッカー選手権も中1~2日の試合が組まれるなど、サッカーでも過密日程の問題を抱えている