北海道コンサドーレ札幌がJ参入22年目にして初のタイトルに王手をかけました。今日はルヴァンカップ決勝、vs川崎フロンターレの試合を総括していこうかと思います。
キックオフ前
初タイトルを狙うコンサドーレ
コンサドーレは1996年に創設され、1998年よりJリーグに参入。長い期間J2の舞台で戦っていたこともあり、ここまで国内3大タイトルは獲得できていない。
これまで最も3大タイトルに近付いたのは、2006年の天皇杯であった。この年はJ2所属ながら、J1所属チームを次々と倒す快進撃を見せたが、準決勝でガンバ大阪に敗れベスト4の成績となっている。
またリーグタイトルで見れば、昨年のJ1・4位が記憶に新しい。昨シーズンより、長年浦和レッズで好成績を残し続けた(タイトルを多く取ったとは言ってない)「ミシャ」ことペトロビッチ監督が就任。ミシャ式の攻撃的に繋いでいくサッカーが早速ハマり、終盤までACL出場権争いに絡んだ。最終節の広島との直接対決落とし4位でフィニッシュ。4位の繰り上げ出場に懸けたが、同年の天皇杯でACL圏外の浦和が優勝したことでACL出場とはならなかった。それでもJ1優勝そしてACLに最も近づいたシーズンとなった。
そして今シーズン、コンサドーレはルヴァンカップで快進撃を見せる。グループステージを首位で突破、ノックアウトステージでも広島やG大阪を倒すなど、カップ戦とは無縁だった昨季からは考えられない強さで、決勝・埼スタの舞台へ這いあがった。残念ながらスカパー独占のため、私は見ることができなかったが・・・。
ちなみに川崎フロンターレは昨年と一昨年のJ王者。一方でカップタイトルからは見放されており、初の一発勝負での頂点を目指す戦いとなった。
コンサは主将・宮澤が不在。一方の川崎はほぼベスメン
2019JリーグYBCルヴァンカップ決勝
— 北海道コンサドーレ札幌《公式》 (@consaofficial) October 26, 2019
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📅10月26日(土)
⌚13:05キックオフ
🏟埼玉スタジアム2002#consadole #コンサドーレ#Jリーグ #ルヴァンカップ#これが伝統Jリーグ唯一の決勝 pic.twitter.com/9GAuefJjFw
コンサドーレのスタメンは前線から中盤にかけてはほぼベストの陣容だったが、主将で普段は3バックの一角を担っていた宮澤が直前の試合で負傷し、今日の試合に間に合うことはなかった。一方の川崎はレアンドロダミアン、家長らがスタメンに名を連ね、ベンチにはベテランの中村憲剛や小林悠も控えているという豪華陣容であった。
試合総括
前半、幸先よく先制も同点で折り返す
前半は開始早々コンサドーレがCKを獲得するなどコンサペースで進み、10分に白井の高精度のクロスから菅が押し込み先制点を上げる。
その後もコンサペースで試合は推移していくも、次第に川崎に決定機を何度も演出される。幾度となく守備陣を突破されるも、ダミアンらのポスト2発や宇宙開発で救われる。このまま無失点で前半が終わるかと思われたが、前半終了間際のラストプレーでセットプレーから阿部に押し込まれ、同点に追いつかれる。このまま前半は終了、1-1で折り返した。
個人的には、20~30分台に川崎がボールを"持たされている"ように思え、2年前の同大会決勝のC大阪vs川崎のデジャヴ(この時はどちらかというと後半の方がその傾向が強かったが)になるのでは・・・?と思っていたが、終了間際でコンサ守備陣が決壊。予兆が数度あったとはいえ外れる形となった。
選手個人で言うならば、やはり白井のサイドでの攻撃が今日も素晴らしかった。チャナティップのパス精度やフィジカルなどの持ち味はしっかりと出ていた。一方で武蔵はチャンスシーンを迎えるたびに厳しいマークにかかり、前半のみならず試合全体で消えかかっていたのかなと思う。川崎側ではダミアンが中々に酷かったですね、我々としては助かりましたが。
後半、終盤に逆転を許すも最後に劇的展開が
後半は終始川崎ペース。ヒヤヒヤの連続だったが、前半に続き宇宙開発を連発しさらなる失点は逃れた。川崎はさらに攻勢をかけまいと64分に中村憲剛、73分に小林悠を投入。コンサも前半で大車輪の動きを見せた白井に替えてルーカスフェルナンデスを、また2シャドーではジェイに替えてアンデルソンロペスを投入し変化をかけた。
一方で10分辺りから川崎のファウルまがいのプレーが見逃され、さらにコンサ側で疑惑の判定が起こるなど、判定関係でも逆風に晒される。そして88分、小林悠に守備を突破され逆転を許してしまう。
ATは5分。終了間際には武蔵が再度決定機を迎えるも決めきれず。そして時計はAT5分台を迎えラストプレーの場面、CKから深井が頭で合わせて同点。劇的な形で追いつくことに成功した。
延長、VARの延長と勝ち越し点を決めるも・・・
試合は90分で終わらず延長戦へ。コンサにとっては初のビッグタイトルが懸かる慣れない状況の中、延長6分に川崎の谷口が決定機を阻止したとしてイエローカードが提示された。絶好の位置で福森がFKを蹴るかと思われたが、笛が吹かれて数分後に荒木主審が今季のルヴァン杯から採用されたVARを使用。判定をレッドカードに変更し、谷口が一発退場(詳細は後述)。川崎は数的不利となった。
そして迎えたFK、福森が左足でゴールに沈め、再び勝ち越し。J屈指の左足が大舞台でも決めて見せた。VARを巡る不手際の影響もあり、ATは異例の4分が取られたが、スコアはこのまま動かず延長前半を終える。
延長後半、逃げ切れば優勝だったが、中村憲剛のCKから小林が今日2点目を決め、試合を再び降り出しに戻される。100分を超える戦い、両選手もロングボールなど一発に頼る展開となり、コンサも数度チャンスを作ったが得点は奪えず。終了間際にはオフサイドからプレーオンに持ち込もうとしたが、後述の理由により認められず、延長後半が終了。120分でも決着がつかず、PK戦に持ち込まれた。本大会でPK戦に入るのは浦和レッズが優勝した2016年以来3年ぶりとなった。
PK戦、一時は勝ち確展開に持ち込んだが・・・
PK戦は川崎先攻、札幌後攻。3人目までは互いにゴールネットを揺らす展開だったが、川崎4人目の車屋が枠外に飛ばして失敗、均衡が崩れる。コンサは4人目まですべて成功したが、5人目の石川で川崎GK新井に止められ再びイーブンに戻される。
どちらかが優勢になれば終了の6人目以降、川崎は決めたもののコンサ6人目の進藤が新井に再びセービングを許し試合終了。川崎が5度目のルヴァン杯決勝でついに優勝。コンサはクラブ初の3大タイトルとはならなかった。
お疲れさまでした
選手・スタッフの皆さん、お疲れさまでした。
残念ながら初タイトルとはなりませんでしたが、リーグ戦での戦いは続きます。特にコンサは目標であるACLに向けて正念場の時期です。29節が終了し勝ち点は40。4位広島とは勝ち点10差、3位横浜FMとは15差で、残り5試合しかない状況でリーグ順位による出場はすでに厳しいものとなっています。
そうなってくると、天皇杯優勝チームがACL圏内に入ることによる、繰り上げ出場圏(4位)に懸けるしかありません。しかしこの場合となると、鹿島の優勝しか可能性がありません。アンチ鹿島としてはとても複雑な状況ですが、仕方がないですね。そして状況としては昨季と似ているのが何とも・・・。
審判総括
試合自体は素晴らしかったものの、一方で疑惑の判定やこの試合で導入されたVARの運用能力などで課題が残った。
後半で目立った疑惑の判定
既に多くの方が指摘済みですが、後半を中心に川崎寄りの判定が目立ちましたね。
ルーカスフェルナンデスの転倒時が被ファウル扱いになったり、川崎が犯したはずのファウルが見逃されたり、そして逆転を許したときの小林悠がハンドを犯していた所が見逃されていたり。前者2つにしてはよくある話なので厳しく追及したところで野暮ったいですが、小林の得点時はVARを通してほしかったです。
決定機阻止に関して
先述の延長前半で起こった谷口の退場劇について、結論からいうとこれでアリだったと思います。VARを使うタイミングがやけに遅かったのは反省ですが。仮にチャナティップが谷口のタックルを食らっていなければほぼほぼ得点の状況だったので(動画の2:05前後参照)。
また、「決定機阻止」に関する判定について、参考として貼っておきます。W杯コロンビア戦、コロンビアの選手がハンドを犯し日本にPKが与えられた時も話題になりましたね。
余談:現地参戦について
今回は東京在住で現地参戦も容易な状況でしたが、TVで視聴しました。単純にチケットが取れなかったためです。
そしてこの後のリーグ戦でコンサドーレの現地参戦を検討しています。関東開催のアウェイはこの後11月9日に日産スタジアムで開催される横浜FM戦のみなので、そこを狙いたいかと思います。
浦和の話になりますがACL決勝やリーグ戦最終節も狙っています。リーグ最終節はガンバとの「ナショナルダービー」(ナショナル感なさすぎてほぼ死語と化しているが)、下手すりゃ残留争い直接対決にもなりかねませんので。