あかいろモザイク

アニメ、サッカー、ゲームを語るブログ。

【企画】きららアニメ史【Part3:2010年代後半】

皆さんこんにちは。小路あかりです。

今回も「まんがタイムきらら」系列のアニメ化作品を振り返っていこうかと思います。

本企画は全4パート構成で進めています。Part32010年代後半(2015~2019年)の作品や当時の情勢を扱っていこうかと思います。新日常系やスポーツなど、きららではそれまで扱っていなかったジャンルがアニメ化され、作品外ではイベントやゲームアプリの配信などコンテンツの巨大化が進んだ5年間でした。早速振り返っていきましょう。

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①人気作の続編と「がっこうぐらし」の衝撃が広がった2015年

2014年秋はきららアニメが放送されず、2015年冬は「幸腹グラフィティ」が放送された。「ひだまり」で実績十分のシャフトによる久々の新作。初の飯テロものとなった本作では、可愛さを通り越して性的とも捉えられる食事シーンが物議を醸したが、ここでも友情ないし百合表現が作品の面白さに一役買った。とは言うものの、本作はラブコメというよりはホームドラマ的な百合描写が多く、百合の方向性は1つではないことを本作で示す形となった。

春にはきんモザ2期「ハロー!!きんいろモザイク」が放送。穂乃花ちゃんの準レギュラー昇格や磨きのかかった百合描写、そして1期では展開上見送られた水着回を放送し1期のクオリティを維持した。

夏は「城下町のダンデライオン」と「がっこうぐらし!」の2本が放送。2009年春以来、6年ぶりに1クールで2本が放送された。そのうち「がっこうぐらし!」では1話終盤から始まった衝撃的な展開からハードな世界観を見せ、それまでのきららの常識を根底から覆して大きな話題となった。特に盛り上がりの大きかったニコニコ動画では本早々中に100万再生を達成し、現在は350万まで再生回数が伸びている。しかしニコニコの視聴者層と円盤の購買層の評価が分かれていたこともあり、円盤の売り上げは振るわなかったとされている(なおネットに出回っている売り上げ枚数の多くは参考値なので、知りたい方はググっていただければと)。

夏ではこの2本の他に、「きんいろモザイク」の原悠衣きんモザ以前に連載していた「わかば*ガール」がショートアニメ枠「ウルトラスーパーアニメタイム」内にて放送された。本作はもともと芳文社ではなく創作工房の『乙女通信』で連載されていたが、連載中に休刊となり、その後単行本が芳文社の「まんがタイムKRコミックス」としてリリースされた経緯がある。単行本がきららのレーベルなので、本作をきらら作品として見る者も多い。同年開催された「きららフェスタ2015」には参加した一方、「きららファンタジア」には2020年現在も参戦していないため、きらら作品ではないとの見方もある。なお、仮に本作をきらら作品とカウントすれば、「きららアニメ初のショートアニメ*1」となり、また2015年は「史上初めて同一クールできららアニメが3本放送」という2つの記録が生まれる。

秋はごちうさ2期「ご注文はうさぎですか??」が放送(現在、BS11にて再放送が放送中)。モカ姉などの新キャラが登場した他は1期のフォーマットを維持し、変わらぬ大ヒットを記録。またアニメーション制作には1期からのWhite Foxに加えキネマシトラスも参加しているが、両者ともに2期が最後の制作となった(劇場版や3期は別会社に交代している)。

2015年は史上初めてすべてのクールで最低1本は新作が放送され、計5本(わかばガールも含めば6本)が放送。後述する2018年と並び最多タイ記録となった。

 

動画工房の進出とNEW GAME!が躍進した2016年

2015年では4クールすべてできららアニメが放映されたが、2016年の冬アニメは1本も放映されなかった。この冬アニメはきらら原作のみならず、新作の日常系およびそれに準ずるアニメが1本も放送されなかったクールでもある。日常系ファンの間では厳しい冬になるかと予想されたが、「ゆゆ式」が再放送されたことでひとまず越冬成功。※この時期の再放送は、同年2月に発売されたOVAのプロモも兼ねていると思われる。

そして春では「三者三葉」と「あんハピ」の2作品がアニメ化された。三者三葉では本誌の古参が13年越しにアニメ化されたのに加え、日常系の名作を多く輩出しながらそれまできらら作品を制作していなかった動画工房が初めてアニメーション制作を担当するなど話題性に溢れた作品となった。2003年からの連載で古典的なギャグも多かったが、2016年のきらら作品のファンにも概ね受け入れられた。そしてもう1本のあんハピでは不幸をテーマにしたブラックコメディで新たな笑いを提供した(ちなみに本作はシルバーリンク制作で、こちらも過去に日常系作品で結果を残しているという共通点がある)。なおこのクールは冬の反動として、きらら内外で日常系にカテゴライズされる作品が4~5本同時に放送された空前絶後のクールとなった。

そして夏はゲーム制作を題材とした「NEW GAME!」がアニメ化。「今日も1日がんばるぞい!」の話題度が先行されていたために、ぞいの一発屋になるだけか、ぞい絡みで原作改変されるのではないか等内容を不安視する声も少なくなかった。しかし社会人になっても失わなかった日常の雰囲気や多少のブラックユーモア、コウ×りんを中心とした百合要素など内容でもしっかり結果を残したされた。また「ぞい」も原作通りに、脚色せずに表現した。円盤や関連商品の売り上げも好調で、放送終了から約4か月後に2期制作が発表された。

秋には「ステラのまほう」が放送。プロだった前期のNEW GAME!とは異なり、こちらはアマチュア(同人)のゲーム制作が題材となった。前期作と内容の重複を不安視する声もあったが、こちらはシリアス少なめの日常描写を中心に構成され、また裕美音による腐女子キャラが新たな面白さを提供した。

このクールでは計4本が放送。動画工房シルバーリンクが2本ずつ制作を担当した。特に動画工房三者三葉を皮切りにNEW GAME!(2シリーズ)、アニマエール!、そして恋する小惑星の4作品(計5シリーズ)を制作しており、制作会社別のアニメ化本数はJ.C.STAFF(夢喰いメリーキルミーベイベーうらら迷路帖、まちカドまぞく(2シリーズ))と並び1位である。

その他、年末には「きんモザ」に関する新プロジェクトが続々と始まった。まずは2016年11月に劇場版「きんいろモザイク Pretty Days」が上映された。きらら作品の新作劇場版は「けいおん!」以来5年ぶりの事であった。この1か月後にはスマホ向けゲームアプリ「きんいろモザイクモリーズ」が配信開始された。しかし、序盤の話題性から売上を長期間維持することができず、翌秋のゲームシステムの大幅変更のてこ入れも虚しく、後述するきらファンの配信開始から4か月後の2018年3月にサービスが終了している。

 

③新作・続編ともに安定した2017年

「きららアニメ」が誕生して10年が経過した2017年。この年のトップバッターは「うらら迷路帖」。キルミー以来5年ぶりのJ.C.STAFF制作となった本作は従来の学園モノではなく和風ファンタジーとして描いたのが特徴。とはいえ基本は10代の女の子の友情を描いており、きららの強みである日常描写もキッチリ描かれていた。しかし本作が「ミラク」からの最後のアニメ化作品となってしまった(本作はミラク休刊後「きらら」に移籍し、2018年に完結)。なお同クールには「ひだまり」4期がBSで再放送されていた(TVアニメ化10周年なのに、何故か1期ではなく4期だった)。

春にきららアニメは放送されなかったものの、夏に2期「NEW GAME!!」が放送された。「ぞい」の話題度で注目された1期とは違い、実力と中身で注目された本作、青葉の成長や1期では影の薄かったねねっちの活躍、そしてライバルポジションの新キャラと正統続編として申し分ない出来となった。なお本作放送直前に後述する「きららファンタジア」の制作発表がされ、本作も初期参戦タイトルに名を連ねた*2

なお夏にはもう1本、芳文社が製作に関与したオリジナルアニメ「サクラクエスト」が放送された。地域創生をテーマにした本作は、アニメ放送と時を同じくしてコミカライズが「まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ」レーベルで発売。「まどマギ」の前例のように、本作はきらら作品としてカウントしない声が多い(ただし、同年のきららフェスタには参加している)。

秋には「ブレンド・S」が放送。A-1Pictures初のきらら作品で、放送枠も土曜深夜アニプレ枠という好待遇で迎えた本作(なおアニプレックスがきらら作品に関与したのは「ひだまり」以来4年ぶり。本作を前後してアニプレは「きららファンタジア」などできららとの関わりを再び深めていくことになる)。ごちうさと同じくバイトものだが、こちらはバイト描写が比較的濃く描かれていた。また久々のラブコメものだった本作では百合に慣れ親しんだファンからの反応が不安視されたが、こちらも概ね受け入れられた。また本作ではきらら作品としては珍しい、男の娘キャラのひでりが登場し、界隈を驚かせた(後日、きらファンにも無事参戦した)。

劇場アニメでは9月に「ごちうさ」の劇場版「Dear My Sister」が公開。ココアさんの実家帰省など劇場版らしい特別感のある内容で魅せた(ちなみにTVアニメの劇場版では珍しい、原作エピソードのアニメ化)。アニメーション制作はproduction dóAに交代したが、制作協力として入っていたディオメディアのスタッフも多数参加している。制作は大きく変わったが、作画・キャラデザに大きな変化はないのでご安心を。ごちうさはこの後キャラソンCDの発売などに留まりコンテンツ展開は一旦落ち着くものの、その後OVAや3期等の制作が発表された。

この年はTV3本、劇場1本が放映および上映された。きらファンの配信開始という特筆すべきニュースはあったものの、きららアニメ自体は比較的おとなしい年だった。

 

④「ゆるキャン△」ブームとジャンル拡大が続いた2018、2019年

独立創刊15周年の2018年、冬は「スロウスタート」「ゆるキャン△」の2作品が放送され、約2年ぶりの2本立てとなった。スロウスタートは久々に王道日常系ともいえる展開だったが、主人公の花名が浪人という設定を持っており、多少のスリリング要素を含んだ作風となっている。なお制作は前期のブレンド・Sから引き続きA-1 Pictures*3が担当し、一部の製作委員会の組み合わせやMXおよびBS11の放送時間も同作から引き継ぐこととなった。そしてゆるキャン△では人気が拡大しつつあったアウトドアものを扱った他、従来のきらら作品には無かった関係性などが高く評価され、瞬く間に大ブームを引き起こした。結果、同年10月のイベントで2期、劇場版、ショートアニメ(へやキャン△)が一斉に発表され、コンテンツとして空前の大成功を果たした。

春は「こみっくがーるず」が放送。マンガ家の女子高生4人の共同生活を舞台に、日常や努力、友情を描いた。シリーズ構成は高橋ナツコが担当したが、自身の過去作でのトラブルから一部界隈から不安の声も上がっていた。しかしラスト2話のアニメオリジナル展開をはじめ、内容は概ね受け入れられてた模様。夏にはきららアニメとしては初めてスポーツ(ビーチバレー)を扱った「はるかなレシーブ」が放送。アスリートしての肉感を忠実に再現した作画と確かな競技描写、そしてペアで行う競技ときららの強みである百合要素の化学反応で完成度の高い一作となった。なお本作は「ハナヤマタ」の影響を受けているとのこと。秋には「アニマエール!」が放送、2年超ぶりの動画工房×きらら作品となった。こちらではチアリーディングを題材に、部員たちの友情や応援による周囲との助け合いをメインに描いた。以上のように2018年は5本が放送され、2015年に並ぶ最多タイを記録。また3年ぶりの全クール放送も達成している。

この年は独立創刊15周年を記念して、11月に東京で「まんがタイムきらら展」が開催。15年間で培ってきたきらら作品の歴史を振り返ることができると共に、本イベントでしか視聴できないオリジナルアニメの上映、そして限定グッズの販売など充実した内容であった。

 

続く2019年だったが、冬春ともにきらら作品が放送されず、2011年夏秋以来となる長い空白の期間が生まれた(この間特別編の放送もなし)。そして夏に3クールぶり、令和初のきららアニメとして「まちカドまぞく」が放送された。結局2019年は本作の1本のみに留まった。1本のみだったのは、翌年以降のごちうさゆるキャンなどの大型タイトルに向けての準備期間だったからと捉えられるか。

好評だった「きらら展」、この年は秋に大阪で開催された。東京開催から出展作品が数本追加し、新たにコラボカフェも開催された。初日の台風による中止もあったが、それ以外のトラブルはなく大盛況のうちに終わった(筆者である私も行きました)。

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⑤コラム:「きららジャンプ」とリアルイベント、そしてきららファンタジアの配信

今回のコラムは3テーマに分けて話していこうかと思います。

まずはきららジャンプについて。2010年代半ばより、きらら作品のOPはどこかで主要キャラクターが一斉にジャンプしているという描写が多く見られるという指摘が各所で見られるようになり、それがいつしか「きららジャンプ」と呼ばれるようになった。2017年頃に入ると公式側でもそれを認知するようになり、「きららファンタジア」では必殺技にあたる「とっておき」を使用した時に発動したキャラクターがこの「きららジャンプ」をしている。なおきらら以外の作品でも同様の表現に対してきららジャンプと呼ばれていることがあるが、逆にきらら内では「ゆるキャン△」のようにOPを制作する際にきららジャンプ禁止令が通達されたケースもある(実際にはサビでテントごと飛んでおり、きららジャンプとして扱うこともある)。

続いてはリアルイベントについて。2010年代半ばに入り、作品単体でのメディアミックス展開のみならず、きらら全体でのイベントを開催するようになった。Part2でも扱った「まんがタイムきららフェスタ!」(2014~2017)に始まり、2018年からは「まんがタイムきらら展」が毎年場所を変えて開催している。とはいえ他のリアルイベント同様、現地に赴かなければならないために地方在住者が行きにくいのは難点である(とはいえ今年新潟で開催されたので、他地方にも波及することを期待しよう)。

最後は2017年12月配信されている、きらら作品のキャラが総出演したスマホ向けゲームアプリ「きららファンタジア」について。異世界を舞台に、きらら作品のキャラで自分だけのチームを組んで戦わせることができる。さらに他作品キャラ間との交流や、本作でしか見られない衣装など見どころ盛沢山となっている。作品世界を再現できるルーム機能も好評。一方の前回のコラムのように、男性キャラが参戦できていない点は一部作品の描写に限界が生まれたり参入障壁が高くなっているとして問題となっている。

リアルイベントの拡大や、きらファンの配信により、作品だけではなく「きらら」そのものを売る動きがみられている。

 

最後に

作品のみならず、きらら全体でも大きな動きのあったこの5年間。最終パートでは2020年に放映された作品と、制作が決定している作品、そしてきららアニメの今後を色々予想していきたいと思います。最後に2015~2019年の間にアニメ化された作品の一覧と、きらら公式のリンクを置いて終わりたいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。

 

2015~2019年にTV放送されたきららアニメ一覧 ※わかばガール、サクラクエストは含めず
作品名 掲載誌(略称) 放送時期 アニメーション制作 備考
 幸腹グラフィティ  ミラク  2015年冬  シャフト  
 ハロー!!きんいろモザイク  MAX  2015年春  スタジオ五組  2期
 城下町のダンデライオン  ミラク→きらら  2015年夏  プロダクションアイムズ  ミラク休載後、きららに移籍
 がっこうぐらし!  フォワード  2015年夏  ラルケ(スタジオ雲雀)  
 ご注文はうさぎですか??  MAX  2015年秋  White Foxキネマシトラス(共同)  2期
 三者三葉  きらら  2016年春  動画工房  
 あんハピ♪  フォワード  2016年春  シルバーリンク  
 NEW GAME!  キャラット  2016年夏  動画工房  1期
 ステラのまほう  MAX  2016年秋  シルバーリンク  
 うらら迷路帖  ミラク→きらら  2017年冬  J.C.STAFF  ミラク休載後、きららに移籍
 NEW GAME!!  キャラット  2017年夏  動画工房  2期
 ブレンド・S  キャラット  2017年秋  A-1 Pictures  
 スロウスタート  きらら  2018年冬  A-1 Pictures  制作スタジオは放送後、CroverWorksに分割
 ゆるキャン△  フォワード→FUZ  2018年冬  C-Station  1期(2期は2021年冬放送)、2019年にFUZ移籍
 こみっくがーるず  MAX  2018年春  Nexus  
 はるかなレシーブ  フォワード  2018年夏  C2C  
 アニマエール!  キャラット  2018年秋  動画工房  
 まちカドまぞく  キャラット  2019年夏  J.C.STAFF  1期(2期制作決定)

 

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*1:きらら系列で連載され、まんがタイムKRコミックスで単行本化された作品に限れば「ゆるキャン△」のショートアニメである「へやキャン△」が初めてとなる

*2:その他のタイトルはひだまり、Aチャンネルゆゆ式きんモザがっこうぐらしステラのまほう、うららの計8作品

*3:ただし、本作終了直後に同作の制作スタジオはCloverWorksに分割