あかいろモザイク

アニメ、サッカー、ゲームを語るブログ。

きらら作品の関係性と距離感の話。

今期のBS11の木曜23時台は「きんいろモザイク(再放送)」と「ゆるキャン△ Season 2」と、「まんがタイムきらら」系列を原作とした作品が続けて放送されている。きんモザゆるキャンも個人的に好きな作品ではあるが、両者はキャラクター間の距離感の取り方や関係性の構築で真逆に近いアプローチを取っている。今回はきらら作品の中でも名作ないし良作の「関係性」の構築や「距離感」の取り方について、改めて考えたい。

 

一緒にいることの尊さを軸とした初期のきらら作品

初期、特に2013年辺りまでのきらら作品は「シリアスやギスギスな展開は少なく、毎日クラスメイトで遊んだり食べたりして1日がおわるマジで楽しい学校生活」が多かった印象。初のきららアニメである「ひだまりスケッチ」や、きららの名を全国区にした「けいおん!」は学園生活に加えて部活動の要素も入れており、初期の名作は所属する学校の専攻分野や部活動で個性を出していた。裏を返せば別れの時も寂しく辛いものとなり、けいおん!では軽音部のうち、あずにゃんこと梓のみが下級生ということで、卒業のシーンで軽音部のメンバーと別れを迎える際は涙を誘った。なお本ブログで以前から使用している「王道日常系」は、このような特徴を持った作品を指す。

また初期のきらら作品では「キルミーベイベー」や「ゆゆ式」など、ギャグ色の強い作品もあった。近年は王道日常系の特徴を持った作品のアニメ化は少なくなり、一番新しいものでは2013年に連載開始し、2018年冬にアニメ化した「スロウスタート」がそれに該当する。こちらは浪人要素という個性を持ちながらも、基本的には主要キャラが揃って、学校内や花名ちゃんが住むアパートなどで起こる出来事を中心に描いており、古き良ききららアニメを体現した。

 

きんモザ」「桜Trick」の登場で、友情から百合の時代へ

冒頭で紹介した「きんモザ」は個人的には「王道日常系」を踏襲した作品と考えている。きんモザは学校生活を通じた日常を基調としつつ留学生による国際交流で個性を出しているが、本作のTV放送を前後してきらら作品では「百合要素」がクローズアップされるようになった。忍×アリスのような和洋折衷を意識したカップリングや、陽子×綾のようにイケメン女子×乙女的カップリングなどが本作では強く推されている。半年後にアニメ化された「桜Trick」では早くも究極の百合表現が描かれ、キスシーンも躊躇なく描かれた。

その後は「幸腹グラフィティ」や「NEW GAME!」(コウ×りん)のような疑似夫婦的百合を経て一旦落ち着くものの、2018年頃に百合ないし友情を軸にした作品が再び台頭。「はるかなレシーブ」ではビーチバレーの競技的特性と百合ないし友情の巧みさを上手くマッチ。「まちカドまぞく」はファンタジー魔法少女の要素を絡めながら、敵対から友情への関係の変化を描いた。

このように、2010年代半ばから友情から先の百合というレベルの作品が多く登場するようになり、以後「きらら=百合」という認識を持つ視聴者が増えていった(そのためか、非百合モノやヘテロを扱った作品がアニメ化するたび、ネット上ではちょっとした騒ぎが起こることがある)。

 

立体的な関係性を構築した「ごちうさ」と、新日常系の「がっこうぐらし

2010年代半ばにアニメ化された作品は、百合要素の台頭と同じくして関係性の構築方法や日常系としての在り方に変化を加えた作品が続々と出てきた。つまり、それまでの多数派だった学園での共同生活や部活動を軸にした要素からの脱皮が図られた作品がいくつか登場した。昨秋に3期が放送された「ご注文はうさぎですか?」は、洋風な街並みの地域コミュニティを土台に、異なる学校・バイト先・学級のキャラクターが日常を織りなしたことで、従来よりも広い世界で、かつ立体的な関係性を構築した。また日本人からしたら非日常な舞台で微かなファンタジー性を与え、絶妙なレベルの癒しを提供した。店員と客としての関係であったり、放課後で一緒に集まったりと、それまでの作品と比べてやや距離が生まれながらも変わらない尊さを提供した。放課後や休日の日常に注力したごちうさは従来作品の主軸であった学園要素が薄いが、3期のココ千夜高の文化祭に象徴されるように、従来の日常系の体裁を「if」とした逆転の発想もみられた。

2012年に連載を開始し、2015年にアニメ化された「がっこうぐらし!」は、当時アニメ界で流行が拡大していた新日常系(過酷な世界の下で少女たちが日常を営むことで、その尊さを描いた作品)のフォーマットを採用。本作もその例に漏れず、迫りくるゾンビとの戦いのさなかで学園生活部が織りなす尊い日常を描き、そしてその日常が壊れ来る時も躊躇なく描いていった。ただきららのアニメ化作品では、明確に新日常系と捉えられるのは本作に留まっている。これは新日常系が尊さと残酷さのギャップを提供する必要があり、原作付きでアニメ化すると原作勢が既に知っているというハンデを抱えているためと思われる。

 

ゆるキャン△」とSNS時代の関係性

2018年冬に放送された「ゆるキャン△」は日常系という形に大きな変革をもたらした。登場人物はSNSを利用するシーンでコミュニケーションを取るシーンが多く、物理的には遠ざかっていても、心理的には遠ざかっていないという新しい距離感の取り方を体現した。またしまリンのソロキャンのように「1人」であることを否定しないという、従来の日常系では考えられなかったシーンも登場した。そしてコロナ禍でソーシャルディスタンス(社会的距離間の確保)が叫ばれるようになり、現実世界で物理的距離を取ることを強いられるようになった今、本作の評価が一層高まっている。ただし、アニメ1期が放送された地点からこの距離感が評価されていたという点は留意しておきたい。

 

陰キャ」主人公で読者・視聴者の心を掴む

ゆるキャン△の登場で新たな関係性が提供されることとなったが、時を同じくしてきらら作品ではもう一つの流行が生まれつつある。それは内気ないし陰キャに分類される主人公の登場である。ゆるキャン△の同期である「スロウスタート」や、翌クールに放送された「こみっくがーるず」では、主人公が内気であり、仲間たちに励まされながら明るくなっていくという特徴がある。前者では学校生活による日常がメイン、後者では漫画家といういずれも既出テーマではあるものの、性格を従来から逆転させたことで、主人公の成長を見守るように作品を楽しむことができるようになった。

この流れは漫画の外でも起こっており、きらら作品のオールスターゲーム「きららファンタジア」の第2部で新登場したうつつちゃんは常にネガティブ思考ド陰キャキャラとして強烈な個性を放っている。彼女が今後、どんな活躍を見せるのか、また心を開くことはあるのかが楽しみである。

 

最後に

キャラクター間の関係性できららアニメを振り返ると、その時代の流れや作品の特徴をより深く捉えられることができた。

昨秋にきらら作品の歴史をまとめた「きららアニメ史」を挙げているので、是非こちらも見ていただけると嬉しいです。※先日、全編で一部箇所の加筆と修正を行いました。

akairomosaic.hateblo.jp

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